【第54回】父のこころ娘知らず… 秋の日の寂しい私…の巻

私の娘はとても恐がりです。
小さい頃は、動く人形を見ては怖がり、「パパーっ」と言いながら私に抱きついてきました。
そんな娘のしぐさが可愛く、また抱きつかれる嬉しさからわざと人形を動かしたりして、娘の怖がるさまを期待し妻にたしなめられたものです。
しかし、最近では動く人形も恐くなくなり、また私に甘えることもなくなったため、娘に抱きつかれる回数は、めっきり減ってしまいました。
愛しい娘を抱きしめようとすれば、「クサイ!!」と逃げられる始末です・・・。
どうしても娘を抱きしめたかった私は、ある朝、物陰を指さしながら、「オバケがいるよ・・・。」と言ってみました。
するとどうでしょう。娘は一目散に遠くにいる妻へ駆け寄り、「パパがオバケがいると言った」と言うのです。
そして、「パパはウソつきだ」と訴えるではありませんか。
抱きつかれるどころか、二人の非難がましい視線を浴びながら、私は出勤したのです。
その日、娘は一日中「パパはウソつきだ」と言い続けたそうです。
ただ娘を抱きしめたかっただけなのに・・・。トホホ・・・。

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